壁や基礎にひび割れがある家をトラブルなく売却しよう

売却を検討している家でひび割れを発見したらどうしますか。ひび割れのある家は見た目も悪いし、安全上の不安も払拭できません。それでは、どうすればスムーズに売却することができるのでしょうか。この記事では、壁や基礎にひび割れのある家をトラブルなく売却する方法を解説します。

実害のあるひび割れとは何か

ひび割れといっても、すべて実害があるわけではなく、深刻な症状を誘発するものと、ほとんど実害のないものがあります。その見極めができれば、不要な心配をすることはありません。

ここでは、国土交通省が示す「既存住宅状況調査方法の解説」を参考にして説明をしていきましょう。

基礎のひび割れは影響が大きい

基礎は建物を支える重要な構造体です。このため基礎の不備は、建物に重大な影響を及ぼす可能性があります。

基礎のひび割れは0.5㎜以上が価格に影響する

既存住宅状況調査においては、基礎のひび割れの幅が0.5㎜以上あれば、指摘事項になります。0.5㎜を測定するには、同寸法のシャープペンシルの替え芯を宛がう方法で判定ができます。

また幅とは関係なく、深さが20㎜以上あるようなひび割れや、さび汁を伴うようなひび割れについても指摘事項になります。

これまでに示した状況に至らない程度の微細なひび割れであれば、建物への影響はほとんどありません。

外壁のひび割れは下地まで達したものは注意

外壁のひび割れは大変目立ちますが、外壁の仕上げで建物を支えているわけではないので、単にひび割れだけを捉えて心配をするのは早計です。

問題なのは、外壁のひび割れが下地材まで達している場合です。そこから雨水が侵入すると柱や土台が腐食して建物を体化させてしまいます。

内壁のひび割れはあまり問題にならない

内壁の壁クロスにひび割れや亀裂が生じていても、建物自体の劣化とは無関係なので心配する必要はありません。

ただし、扉の開閉が困難になるといった現象がある状況で、内壁のひび割れを発見したのであれば、念のために床に置いたビー玉が勝手に動くといった、家の傾きの症状がないか確認した方がいいでしょう。

ひび割れを放置すればどんなリスクがあるのか

住宅でひび割れが発生するのは、背後に必ず理由があります。その理由によって深刻度は大きく異なってきます。特に深刻なのは、基礎と外壁で発生した場合です。まずは、発生理由ごとにびび割れを放置すれば、どんな状況になるのかを明らかにしていきましょう。

施工不良によるひび割れは倒壊する危険がある

基礎のひび割れが、施工不良によるものであれば、最悪の場合、家屋が倒壊するおそれがありますから、早急な補強工事が必要です。施工不良では次のようなパターンがあります。施工不良は、次のようなケースが想定できます。

鉄筋の本数が少ない

鉄筋コンクリート造の基礎は、鉄筋が引っ張る力を負担しています。構造計算によって算出された本数の鉄筋が設置されていない場合は、コンクリートが限界を超えて、ひび割れが発生します。

鉄筋の位置が表面に近すぎる

鉄筋の位置が表面近くにあると、浸透した雨水によって鉄筋が錆びることがあります。赤茶色のさび汁を発生させて見た目も悪くなりますが、さらに放置をしておくと、やがて鉄筋が錆で膨張をしてコンクリートが剥離することがあります。

コンクリートの品質が劣悪

コンクリートはJIS規格に基づいた製品を用いるのが基本ですが、現場で練ったコンクリートやJIS認定工場でないプラントから出荷された製品は、品質が劣悪で強度が不足していることがあります。

コンクリートの施工不良

コンクリートの施工時間を節約するために水を足したり、雑な施工で砕石が一カ所に集まったりすると、強度不足のコンクリートになることがあります。

基礎のひび割れが、これらに起因しているのであれば、ひび割れを補修するだけでは何の対策にもなりません。新たに基礎を構築するといった根本的な補修工事が必要になります。

不同沈下による基礎ひび割れは住宅が傾くリスクがある

土地の地盤が軟弱な場合、徐々に住宅が沈んでいくことで、基礎にひびわれが発生することがあります。地盤の強度がそれぞれ異なるために、最も地盤の軟弱な個所が深く沈んでいきます。このため不同沈下が進行すると住宅に傾きが生じる危険があります。

外壁のひび割れは柱が腐食するリスクがある

外壁のひび割れが下地材まで進行していると、雨水が柱まで到達して、やがて腐食させてしまう危険があります。

外壁のひび割れは断熱効果が低減するリスクがある

外壁のひび割れが下地材まで進行していると、雨水が断熱材を湿らせることになります。グラスウールを断熱材として使用している場合、水に濡れることで空気層が消滅して断熱効果を発揮できなくなります。

外壁のひび割れはシロアリ被害に遭うリスクがある

外壁のひび割れを放置して、壁内に雨水が浸入するようになると、湿気を好むシロアリの繁殖を誘発することになります。

建具の不具合は不同沈下を疑おう

内壁のひび割れは基本的に建物に大きな影響はありません。ただし各部屋の建具や床に不具合があれば、不同沈下が原因していることがあります。床面をビー玉が転がるといった現象があれば、早急な対策が必要になります。

ひび割れのある住宅をトラブルなく売却する方法

ひび割れのある住宅は、売却が容易には進まないことがあります。問題点を抱えた物件をトラブルなく売却するには、どうすればいいのか解説していきましょう。

インスペクションを実施する

物件を売却した後に、重大な不具合が発見されると、契約不適合として契約の解除等が求められる可能性があります。このため売却前に、物件の不具合を正確に把握して、重要事項説明で、その内容を買主に伝えることが必要になります。

とはいえ、物件の不具合を正確に把握することは、容易にできることではありません。これを実現できるのが、インスペクションと呼ばれる既存住宅状況調査です。インスペクションを実施することで、重要事項説明で提示する報告書を用意することができます。

価格交渉はある程度妥協する

ひび割れのある家は、売却が難しいことは否めません。売却できないまま放置しておくと、維持管理費や固定資産税などの負担も増大することになります。購入希望者と商談する機会が訪れたら、一定の許容範囲を定めて売却価格を大きく値切られても売却する方向で話を進めた方がいい場合があります。

構造に支障のある不具合は修繕する

一般的に、売却前にリフォームしても、補修に投じた費用が売却価格に反映するわけではありません。つまり瑕疵がなく経年による汚れがある物件は、リフォームをすることなく売り出す方が、結果として出費を抑えることになります。

しかし構造的に支障をきたすひび割れは、そのまま放置して売却すると、誰も買わないという事態も想定されるので、思い切って補修をするのも効果的な方法です。

この場合、漠然と工務店に依頼するのではなく、事前にインスペクションを実施して、指摘された箇所限定で修理を発注した方がいいでしょう。

買取専門の会社に買い取ってもらう

基礎や外壁にひび割れがあるので、この家は誰も買う人がいないのではないかと、不堪に感じている人もいるかと思います、その場合は、買取専門の会不動産会社に相談をしてみる方法をお勧めします。

買取を専門にしている会社は、物件をリフォームして、新たな魅力のある物件として再生させるノウハウを持ち合わせています。買取に際しては、価値のある商品として扱ってもらえます。

まとめ

ひび割れの有る家は、構造上の不安が大きいため、売り出しをしてもめなかなか契約できないことがあります。

売却をすすめていくには、購入希望者の不安を払拭することが大事な要素です。安全を確保する補修を実行することで、スムーズな売却をすることができます。