住み替えローンを活用して買い替えを実現しよう!

住宅ローンの返済が残っているけど、子どもが大きくなったので、もう少し広い家に住みたいといった場合、どうすれば家の買い替えが実現できるでしょうか。その際、大きな力になるのが住み替えローンです。この記事では住み替えローンを活用して買い替えを実現する方法を解説します。

住み替えローンとは

住み替えローンとは、住宅の買い換えの際に活用できる住宅ローンです。現在住んでいる家を売却してもローンを完済できない場合、残債と新たな住宅を購入する費用を合算して組むことができます。

住み替えローンの利用を検討するには

住み替えローンの利用を検討するポイントは、今住んでいる家がいくらで売却できるのかということと、住宅ローンを一括返済するには、いくら資金が必要なのかを確認することです。

物件がいくらで売れるのかは、国土交通省のサイトで不動産取引情報価格検索をしたり、不動産広告で類似した物件がいくらで売り出されているのを読み解いたりすることで分かります。

(国土交通省・不動産取引情報価格検索)
http://www.land.mlit.go.jp/webland/servlet/MainServlet

またローンの返済額については、返済計画書やスマホのアプリでローンシミュレーターを活用することで、一括返済の額を把握することができます。

売却価格が明らかに残債に及ばず、かつその差額を自己資金で埋めあわせすることが困難であれば、住み替えローンの利用を検討することになります。

ローンが完済できないと家は売却できない

物件を売却するには、住宅ローンを完済して抵当権を抹消する必要があります。

住宅ローンを利用している場合、融資先の銀行が抵当権を設定しています。この抵当権を抹消しないと誰も購入してくれませんから、売却前に住宅ローンを完済して、抵当権を抹消しないといけないのです。

住宅ローンよりも審査が厳しい

住み替えローンは、抵当権を設定する物件の価格を超えて融資をすることになるので、一般の住宅ローンよりも厳しい審査が行われます。住宅ローンは購入する不動産の価値と借りる人の返済能力を合わせた審査が行われますが、住み替えローンでは、借りる人の収入や勤続年数などを基礎とした返済能力に重点を置いて審査をします。このため、一般的な住宅ローンの審査を通過した人であっても、住み替えローンの審査が通らないという結果になることもあります。

住み替えローンを利用する流れ

住み替えローンや住宅ローンは、対象となる物件があることを前提に審査を進めます。購入する物件が決まっていないと銀行からは一般的な回答しか得ることはできません。

買い換え対象の物件が決まれば、次のような流れで住み替えローンの利用を進めます。

住み替えローンを融資してくれる銀行を決める

購入したい物件が決まれば、住み替えローンを融資してもらう銀行を決めます。この場合、買いたい物件を販売している会社か仲介している不動産業会社と相談しながら進めていきます。

検討すべき事項は、「住み替えローンが利用できるのか」ということと「引き渡しの時期をいつにするか」という点です。

住み替えローンを利用する銀行の選択方法としては、「現在住宅ローンを借りている銀行」「金利を低く設定している銀行」「不動産会社が提携している銀行」などがあります。

住み替えローンを実行する時期は、売却物件の住宅ローンの完済後であることが条件ですから、住んでいた家の売却と新たな物件の購入を同時に進めることはできません。このため住み替えローンの利用に際しては、物件の売却がいつまでに行えるのかということが、重要なポイントになります。

これまで住んでいた家の売却方法としては、「仲介」と「買取」の2種類があります。もし転勤などで転居時期が決まっている状況であれば、「買取」を優先した方がいいでしょう。「仲介」だと、いつ売れるのかが誰にも分からないからです。

反対に売却までに十分猶予があるのであれば、「仲介」で売却活動を進めた方がいいでしょう。なかなか売れる兆候がなく期限が近付いてきたら、その段階で「買取」に切り替えることも可能です。

また「仲介」の中には、「買取保証」を実施している会社もあります。当初は「仲介」で売却活動を進めていき、一定期限後までに売却できなかったら、不動産会社自らが買い取ることを保証しているものです。

「買取保証」だと、売却期限と買取価格が予め決められているので、住み替えローンが利用しやすいというメリットがあります。

住み替えローンのメリット

買い替えを実現してくれる住み替えローンは、融資額が大きくなりますが、それでも利用する価値があるのかを考えていきましょう。まずはどんなメリットがあるのかを押さえていきます。

物件価格を超えてローンを組める

住み替えローンの特徴ともいえることですが、物件価格を超えてローンが組めるのは大きな魅力です。近年、不動産の価値が大きく上がることがないので、売却価格が残債を下回る「オーバーローン」は、決して珍しいことでありません。そうした状況にあっても、住み替えが実現できる住み替えローンの存在は、とても心強い存在だといえます。

節税効果がある

住宅ローン利用者は、住宅ローン控除によって、毎年大幅な控除を受けることができます。住み替えローンにおいても同様に住宅ローン控除の適用を受けることができます。

手元に現金を残すこともできる

以前住んでいた家の売却価格が、残債を下回っていた場合、その不足金額を自己資金で補うことで、完済をすることができます。

このケースで、あえて自己資金で返済することなく、住み替えローンの利用を選択すると、自己資金を現金として残すことが可能になります。

借金をするリスクを選ぶのか、当面手元にまとまった現金がないリスクを選ぶのか、判断の難しい岐路になります。

住み替えローンのデメリット

住み替えローンを利用するか否かを判断するに際しては、メリットばかりでなく、デメリットを知ることも重要です。住み替えローンにはどのようなデメリットがあるのかみていきましょう。

ローン残高が増える

前の住宅ローン残債分も合わせて融資をしてもらっているので、当然のことながらローンの残額が大きくなります。このあたりの選択をどうするかが大きなポイントになります。

注意したいのは、審査に通ったからといっても、それが必ず返せるという保証にはならないということです。本当に無理のない返済ができるのか慎重な検討が必要です

最初から評価割れしている

一般的な住宅ローンでは、自己資金の不足部分を補う形で利用します。このため、ローンの残債よりも物件の価値の方が高い状態で返済がスタートします。

しかし住み替えローンの場合、フルローンで利用することが多いうえに、前の家の残債分を加えて融資を受けているので、最初から物件の価値は融資額を下回る「評価割れ」になっています。このため返済不能になったときは、非常に悲惨な状況が待ち受けていることを心しなくてはいけません。

まとめ

住み替えローンは、住んでいる家の売却価格が残債を下回っていても、家の買い替えを実現できるローンです。

一方で、住み替えローンの融資が実行される前にそれまで住んでいた家を売却する必要があるので、新居でゆっくり売却できるのを待つということができません。

売却の時期と売却金額を少しでも早く明らかにしたいのであれば、買取専門の不動産会社に買い取ってもらう方法がとても有効です。いつ売却できるか分からない、仲介による売却と比べて、いち早く売却価格が判明し、かつ速やかに現金が入ってくる特徴がありますから、まさに買い替えローンの利用に適した売却方法だといえます。